牛の胃ぶくろ
牛(反芻動物)の胃ぶくろは四つもあります(複胃)。



 牛の胃ぶくろは非常におおきく、腹腔全容積のほぼ3/4(90-200リットル程度)を占めます。
第1胃はその胃全体の80パーセント、第2胃は5パーセント、
第3胃は第3胃は7-8パーセント。第4胃は7-8パーセントを占めます。




第1胃 (ルーメン)
 最も大きい胃は食道から真っ先に入る第1胃(ルーメン)で、成牛だと120リットルもあります。第1胃はたくさんの微生物(原虫)が共生していて、この微生物の作用によって、人が食べられない草のような飼料を発酵し、栄養素として利用できる形に変えます。第1胃の表面は大小の柔毛(じゅうもう)が密生していて、表面積を大きくしています。これは微生物が発酵してできた栄養素をできる限り効率よく取り込むためです。ここで吸収される栄養源はVFA(揮発性脂肪酸)と呼ばれる物質です。この物質は牛にとっても重要な栄養源です。牛はこのVFAと呼ばれる物質から、糖や脂肪などの栄養素を体内でつくっているので、もし第1胃の機能が壊れると重大な病気になってしまいます。特に乳牛にとって、第1胃の状態は泌乳量や乳質に大きな影響を与えるので、絶えず良好な状態を保つことが重要です。




第2胃 (蜂巣胃)

 第1胃の先には第1胃の作用を助ける第2胃があります。内面は蜂の巣のようなヒダを持っているので、別名「蜂巣胃」と呼ばれています。




第3胃 (葉状胃)

 さらに第2胃の奥には第3胃があります。第3胃は葉っぱのようなヒダが何枚も重なって、内容物をすりつぶすような構造になっています。そのため別名「葉状胃」と呼ばれています。栄養分(水分、ナトリウム、低級脂肪酸)の吸収を行うといわれることもありますが、実際のところ、この胃が何のためにあるのかはまだわかっていません。


 ここまでが前胃と呼ばれる部分で、食道が変化したものです。したがって前胃では消化液の分泌はしません。

第4胃 (腺胃/真胃)
 四つ目の胃は、ほかの動物と同じ機能を持つ第4胃です。ここでようやく胃液を分泌する本当の胃になるわけですが、牛の場合、胃が一つしかないほかの動物に比べると消化作用はあまり強くありません。ここまでくる間に多くの食物が細かく分解されており、ほかの動物のようにここで強い消化作用をする必要がないのです。



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